マイワシの70年:490倍に増え、160分の1に減り、また戻ってきた
2026.10.17
マイワシほど、獲れる量が大きく変わる魚はありません。全国の漁獲量は1965年に9,215 tでしたが、1988年には449万tと約490倍に増えました。その後は急に減り、2005年には2.8万tまで落ち込みます。そして2010年代から再び増え、2025年は70.8万t(概数値)でした。
70年分の漁獲量
豊漁 やや豊漁 平年並み やや不漁 不漁 判定なし 平年(直近5年平均)
1980年代のピーク時には、日本の漁獲量全体(1988年は1126万t)の約4割をマイワシが占めていました。この時期に獲れたマイワシの多くは、食用ではなく養殖魚のえさや魚粉に使われました。
レジームシフト:海の環境の「切り替わり」
マイワシの増減は、獲りすぎだけでは説明できません。日本だけでなく、カリフォルニア沖や南米沖のマイワシの仲間も、ほぼ同じ時期に増えたり減ったりしてきたからです。こうした数十年ごとの海と大気の状態の切り替わりを「レジームシフト」と呼びます。日本の研究者(川崎健・東北大学名誉教授)が、マイワシの研究からこの考え方を示したことで知られています。
カタクチイワシとの「入れ替わり」
マイワシが少ない時期には、カタクチイワシが多く獲れる傾向があります。マイワシが急に減った1990年代後半から2000年代前半には、カタクチイワシが増え、2004年には49.6万t獲れました。マイワシが増えた最近は減っていて、2025年は7.7万t(概数値)でした。
豊漁 やや豊漁 平年並み やや不漁 不漁 判定なし 平年(直近5年平均)
このような、海の環境に合わせて主役の魚が入れ替わる現象は「魚種交替」と呼ばれています。
これから
2026年の公式予報では、太平洋のマイワシの来遊量は「前年を大きく下回る」とされています。この先も増え続けるとは限らず、70年の記録からは、いまの水準がずっと続くとは考えにくいことがわかります。
出典
- 漁獲量:海面漁業生産統計調査・海面漁業魚種別漁獲量累年統計(農林水産省)
- 2026年の予報:水産研究・教育機構「2026年度第1回 太平洋いわし類・マアジ・さば類長期漁海況予報」