スルメイカの不漁と2025年の「豊漁」
2026.10.17
スルメイカは、日本で最も多く獲られてきたイカです。1968年には全国で66.8万t獲れ、2000年にも33.7万tありました。しかし2010年代半ばから急に減り、2024年は2万tと統計で最も少なくなりました。
漁獲量の移り変わり
2015年の12.9万tから、2016年には7万tとほぼ半分になりました。その後も減り続け、2024年は2015年の約6分の1です。
豊漁 やや豊漁 平年並み やや不漁 不漁 判定なし 平年(直近5年平均)
なぜ減ったのか
スルメイカの寿命は約1年です。その年に生まれて育った群れがそのまま漁獲の対象になるため、産卵場や稚イカが育つ海の環境によって、年ごとの資源量が大きく変わります。国の資源評価では、日本海側の秋に生まれる群れも、太平洋側の冬に生まれる群れも、低い水準が続いているとされています。
2025年は「異例の豊漁」だったのか
2025年は、北海道や東北の太平洋側などで、これまでにないほどスルメイカが獲れたと報じられました。小型船のいか釣り漁の漁獲量が国の漁獲枠(TAC)を超えたため、水産庁は2025年10月31日に採捕停止命令を出しました。漁獲枠の制度ができてから初めてのことです。
ただ、全国の漁獲量は2.7万t(概数値)で、前年の約1.4倍にとどまります。2010年(20万t)と比べると7分の1ほどです。一部の海域ではたくさん獲れましたが、全国で見ると低い水準から少し戻った程度でした。漁獲枠は資源が少ない前提で決められていたため、一部の海域での豊漁でも枠を超えることになりました。
値段はどう変わったか
主要漁港での1kgあたりの卸売価格は、2015年ごろまで150〜290円ほどでした。漁獲が半減した2016年に531円/kgへ上がり、2023年には941円/kgになりました。
スルメイカの1kgあたりの平均卸売価格(主要漁港) 2006〜2009年は縮小調査のため除外
予報と実際
2025年の公式予報は、太平洋側は「前年を上回る」、日本海側は「前年を下回る」でした。都道府県ごとの実際の値との比較は予報の答え合わせにまとめています。
出典
- 北海道新聞「小型スルメイカ漁の採捕停止命令発出」(2025年10月)
- 水産研究・教育機構「2025年度 日本海スルメイカ長期漁況予報」「2025年度 第1回 太平洋スルメイカ長期漁況予報」
- 漁獲量:海面漁業生産統計調査、価格:水産物流通調査(いずれも農林水産省)